はじめに
2026年1月22日、マンション管理のあり方を根底から揺り動かす重要な最高裁判決が出されました。共用部分の不備(瑕疵)による漏水事故において、管理組合が民法717条の「占有者」に該当し、被害者に対して損害賠償責任を負うという初判断です。これまで実務上で曖昧だった責任の所在が、ついに司法によって明確化されました。
裁判の争点と最高裁の判断
今回の訴訟では、共用部分の設置や保存に不備があった際、誰が「占有者」として一次的な責任を負うのかが争われました。最高裁は、以下の理由から管理組合の責任を認めました。
- 実質的な管理権限の帰属:管理組合は区分所有法に基づき、共用部分を適切に維持・管理する権限と義務を有している。
- 財産的裏付け:組合員から徴収した管理費・修繕積立金を原資として、不具合の調査や修繕を行う能力がある。
- 被害者救済の迅速化:個々の区分所有者全員を相手に訴訟を提起させるのは現実的ではなく、組織としての管理組合を責任主体とすることが妥当である。
今後の実務への提言
この判決により、管理組合は「不具合を放置すること」に対して、より重い法的リスクを負うことになります。
- 定期点検と早期修繕の徹底:目視だけでなく、必要に応じた配管調査や専門家による診断を計画的に実施する必要があります。
- 保険加入状況の再点検:管理組合が「占有者」として訴えられた際、十分な補償が受けられる保険内容(施設賠償責任保険など)になっているか、今一度確認が急務です。
マンションの老朽化が進む中で、この判決は「管理の質」が組合の法的・財産的リスクに直結することを示唆しています。

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