マンションの大規模修繕工事は、建物の維持において不可欠であり、一般的に12~15年周期で行われます。しかし、その費用は規模や構造によって億単位に達することがあります。
近年、マンションの管理に対する関心の低下から、管理組合が管理会社に業務を委ねるケースが増えています。こうした状況を背景に、工事事業者間で受注金額をつり上げる談合が行われたり、設計コンサルタント事業者と工事事業者が癒着して工事費用からキャッシュバックが行われたりする問題が指摘されています。さらに、管理会社が一括で工事を受注し、特定の工事事業者と癒着して利益を得る可能性も指摘されており、管理業界の構造的な問題として注目されています。このような状況に対し、抜本的な対策が期待されています。
このような問題を防止するためには、管理組合が主体的に工事を監視することが重要です。工事事業者の選定において、管理組合が主体となる「設計監理方式」は、工程の透明性を高める上で有効な手段です。ただし、この方式は管理組合にとって大きな負担となる側面もあります。
管理会社に一任する「責任施工方式」を選択した場合でも、管理組合は決して無関与であってはなりません。工事箇所や工事方法を詳細に確認し、コスト削減の可能性を探ることが重要です。また、工事事業者の決定プロセスの明確化を求め、工事が適切に行われているかを継続的に監視する姿勢が求められます。どのような方式を選択するにしても、工事の工程を細かく確認する姿勢が、不適切な工事や費用の増大を防ぐ上で不可欠と言えるでしょう。
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