高経年マンションの課題に対処するためには、総合的なアプローチが必要です。修繕積立金の不足は、大規模な改修工事が必要となる老朽化したマンションにとって、特に深刻な問題です。
近年のマンションにおける仕様の変化と改修工事について
1980年代に建設されたマンションは、新耐震基準の導入や省エネ基準の設定など、多くの技術革新の恩恵を受けていますが、それに伴う改修工事もまた、高度な技術と資金を要求します。
サッシの更新や配管の樹脂化など、特定の改修工事は長期的なメンテナンスコストの削減に寄与する可能性がありますが、これらの工事を実施するためには、管理組合による適切なルール作りや資金計画が不可欠です。
管理組合が考えなければいけないこと
共用部分の改修には、区分所有者の協力が必要であり、専有部分までの一体工事の検討も重要です。令和3年のマンション標準管理規約の改定は、この点で新たな可能性を開いています(コメントの中に専有部分の修繕についての内容が追加。給水・排水・給湯工事など配管一体を更新するチャンス!?)。
また、資金面では、長期修繕計画の見直しによるライフサイクルコストの削減、ランニングコストを抑えた改修、そして融資や補助事業、減税制度の活用が鍵となります。特に、省エネリフォームを推進する補助事業は、高経年マンションの性能向上に大きな影響を与えるでしょう。
- ライフサイクルコストの削減:仮に工事の仕様を1割高く(性能向上)し、本来の12年周期工事を18年周期として考えます。そうすると36年後には従来4回目の大規模修繕を行いますがこれが3回の実施で済むことになります。もしも、1回の工事費が5000万だと仮定した場合、4回だと総コストは2億となります。しかし、1回5000万の工事が性能向上をすることで5500万と仮に上がったとしても3回なので総額1億6500万。実に3500万円の削減効果となり大規模修繕工事の累計額で18%の削減効果となります。
- ランニングコストを抑えた改修:メンテナンスコストのかかる受水層や駐車場などを撤去することにより削減すること、LEDにより削減すること、点検費用そのものを軽減することなどがポイントとなります。
まとめ
総じて、高経年マンションの改修は、単に既存の問題を解決するだけでなく、将来にわたって建物の価値を維持し向上させるための投資と考えるべきです。そのためには、技術的な側面だけでなく、経済的な側面、そして住民の協力と理解も必要となります。これらの要素をバランス良く組み合わせることで、高経年マンションは新たな時代に適応し、長期にわたってその価値を保ち続けることができるのです。
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